柱や壁を食べることで家を破壊していくということで嫌われているシロアリですが、実は世界中には2500種類以上のシロアリがいると言われています。
それらのうち日本には20種類程度が生息しているとされています。
ただ、全部のシロアリが建物に被害をもたらすというわけではなく、特に被害をもたらすのは3種類ほどです。
そこでここではその3種類を中心にシロアリについて紹介していきたいと思います。
ヤマトシロアリについて
日本では大きな分類でいうと「ミソガシラシロアリ科」のシロアリが多く生息しています。
このミソガシラシロアリ科に属しているアリが一般的に蟻道と呼ばれる道を通って建物に侵入してきます。
ヤマトシロアリの特徴とは
ヤマトシロアリは北海道、本州、四国、九州と日本全国にわたって生息しているシロアリです。
その生息域は日本にいるシロアリの中でも最大のものであり、普通に見かけることが多いシロアリはこのヤマトシロアリだと言えます。
頭部が四角で長いという特徴があります。
ヤマトシロアリの好みについて
ヤマトシロアリは土の中、湿った木材といった湿度の高い場所を特に好みます。
建物にはよく侵入してきた上で巣をつくり、床下の柱や内装材、庭の柵の木や枕木など食べていくというシロアリの中でも代表的なものだと言えます。
また、巣の中には2~3万匹が生息するとされており、一度巣を作られると被害が大きくなる傾向があります。
ヤマトシロアリの仲間について
ヤマトシロアリは分類でいうとヤマトシロアリ属に属しており、仲間も色々といます。
以前は亜種とされていましたが、最近では別種として扱われています。
・カンモンシロアリ
本州と九州の間にある関門海峡の付近のみだけで生息しているシロアリです。
羽アリが一斉に飛び立っていく時期が2月下旬から4月あたりの時期と他のヤマトシロアリよりも早いためにその時期でヤマトシロアリと区別できます。
特にこうしたヤマトシロアリは沖縄付近の暖かい地方でよく見かけることが多くなっています。
・アマミシロアリ
九州よりもさらに南部である奄美大島と与論島で確認されており、暖かい地域にのみ生息するシロアリとされています。
本州などで生活していれば見かけることはほとんどないシロアリだと言えます。
・オキナワシロアリ
こちらも九州よりも南部の沖縄地域の沖縄本島に生息するヤマトシロアリ属のシロアリです。
このシロアリも本州などで見かけることはまずありません。
・ミヤタケシロアリ
奄美大島や徳之島、沖縄本島といった地域で生息しているヤマトシロアリです。
・ヤエヤマシロアリ
こちらは沖縄本島よりもさらに南方である八重山諸島の西表島や石垣島で生息が確認されています。
・キアシシロアリ
こちらは日本原産ではなく、台湾原産とされており石垣島、西表島、与那国島で生息が確認されているシロアリです。
イエシロアリについて
こちらは日本で生息しているシロアリの中でも特に建物への被害が大きくなる、加害が激しいシロアリとされています。
建物にとっては要注意のシロアリだと言えるでしょう。
ここではそんなイエシロアリについて紹介していきます。
イエシロアリの特徴について
こちらはあまり寒い地域には生息しないシロアリです。
本州では千葉より西側の太平洋から瀬戸内海にかけての沿岸地域、四国、九州、沖縄などにかけて生息しています。
こうした特徴のため、東北地方を含めた東日本ではそれほど一般的なシロアリではありません。
主に西日本の沿岸部分など温暖な地域に生息する特性があります。
イエシロアリの被害について
イエシロアリは地中などに巨大な巣を作ることで有名です。
その巣には100万匹以上の個体数が生息し、それらが活動することで被害が建物全体にまで及ぶという極めて大きな被害を出すシロアリとされています。
イエシロアリの被害は日本だけでなく、世界中で確認されており、アメリカなどでも生息が確認されています。
アメリカカンザイシロアリについて
こちらは名前の通りにアメリカ産のシロアリです。
千葉、東京、神奈川といった関東地方、大阪、兵庫、和歌山といった関西地方だけでなく、広島や鹿児島などでも発見されており、さらなる広がりが予想されているシロアリです。
アメリカカンザイシロアリの特徴について
アメリカカンザイシロアリはレイビシロアリ科に属するシロアリで、乾燥した木材に住みつくことが多くなっています。
建物に加害するシロアリも多く、アメリカカンザイシロアリもその一種となっています。
もともとはアメリカのワシントン州、カリフォルニア州など西海岸に生息していたシロアリです。
シロアリの中では比較的寒さに強いという特徴があり、日本では宮城県で発見されたこともあります。
アメリカカンザイシロアリの好みと被害について
アメリカカンザイシロアリは乾燥した木材を好みます。
もともとアメリカ産だったシロアリが日本に輸入される家具などに潜んでおり、家具などとともに日本に入り込んだとされています。
乾燥した木材に加害することが多いため、一般的な家屋でも屋根裏や床下の柱などの木材が被害にあうことが多くなっています。
アメリカカンザイシロアリの仲間だがあまり被害を与えないシロアリについて
アメリカカンザイシロアリは建物に大きな被害を与えるシロアリですが、中には本州などであまり見かけることがないようなシロアリもいます。
ここではそれらの中でも有名なものを紹介していきます。
・シュワルツカンザイシロアリ
アメリカカンザイシロアリに似ているのですが、本州では見かけることはありません。
・ハワイシロアリ
こちらは小笠原諸島硫黄島でだけ生息が確認されているシロアリです。
屋外の枯れ木を好んで住みつきます。
・ダイコクシロアリ
こちらは熱帯性のシロアリであり、日本では奄美大島や小笠原諸島でのみ生息しています。
・ニシインドカンザイシロアリ
もともとはジャマイカやカリブ諸島で生息していたとされるシロアリですが、こちらも輸入家具によって日本に持ち込まれたとされています。
温暖な地域で多く生息しています。
コウシュンシロアリ属について
コウシュンシロアリ属に属しているシロアリは家屋に対してはそれほど加害はないとされているシロアリです。
・スギオシロアリ
日本では沖縄本島、八重山諸島に生息しているシロアリです。
枯れ木などに巣を作って生息し、家屋にはあまり加害はしないとされています。
・カタンシロアリ
こちらも比較的温暖な地域でのみ生息するシロアリであり、日本の最北確認地域は静岡県となっています。
針葉樹の生立ち木、枯れ枝などに生息します。
家屋には加害はありません。
・ナカジマシロアリ
こちらは本州和歌山付近の紀伊半島、四国、九州などの太平洋沿岸に生息するシロアリです。
照葉樹の枯れ枝に住みついています。
まとめ
シロアリは世界中に生息している虫であり、日本にも20種類程度が生息しています。
シロアリというと建物などの柱、木材をかじるというイメージがあるのですが、実際にそういった被害を与えてくるのは3種類程度のシロアリです。
シロアリは大量発生することが多いために、発生していると感じたらシロアリの駆除を専門に行っている業者に依頼して本格的に駆除するということがおすすめです。