
ある夜、お風呂場や洗面所でひょっこり現れた大きな虫。長い触角と弓なりに曲がった背中、独特の跳び方に驚いた方も多いのではないでしょうか。その虫がカマドウマです。見た目のインパクトから強い不快感を覚える方も多いですが、実は毒もなく、人を噛むこともほとんどありません。
それでも「また出てきたらどうしよう」「どこから入ってくるのかわからない」という不安は当然です。カマドウマの駆除には、ただ見つけて退治するだけでなく、侵入経路を断ち、発生しやすい環境を改善することが根本的な解決につながります。
この記事では、カマドウマの基本的な生態から、家への侵入しやすい場所と条件、自分でできる具体的な駆除方法、再発を防ぐための侵入対策、そして業者に相談すべきタイミングと流れまで、順を追って解説していきます。
カマドウマとはどんな虫か

まずは「そもそもカマドウマとはどんな虫なのか」を整理しておきましょう。生態を正しく知ることが、効果的な対策への第一歩になります。
外見・生態の特徴と「便所コオロギ」と呼ばれる理由
カマドウマは、バッタやコオロギの仲間に分類される昆虫です。体長は成虫で約15〜25mmほど。茶褐色の体に、後ろ足が弓なりに大きく曲がっているのが最大の特徴で、この見た目から「カマドウマ(竈馬)」という名前がついたとされています。翅(はね)を持たないため飛ぶことはできませんが、後ろ足を使って高くジャンプすることができます。
「便所コオロギ」という俗称も広く知られています。これはかつてのくみ取り式便所(汲み取りトイレ)の暗くて湿った環境を好み、そこでよく見かけられたことが由来です。現代の水洗トイレが普及した今でも、洗面所・風呂場・トイレといった水まわりに出没することが多く、この呼び名が定着しています。
カマドウマは毒を持たず、人を噛むことはほとんどありません。見た目の不気味さから恐怖を感じる方も多いですが、衛生的な実害はゴキブリや蚊に比べてはるかに少ない虫です。とはいえ、心理的な不快感は大きいため、早めに対処したいという気持ちはもっともなことです。
カマドウマが好む環境と活動時間

カマドウマが好む環境の条件は、暗くて湿気が多く、人の目が届きにくい場所です。自然界では洞窟・岩の下・腐った木の内部などに生息しており、家の中では床下・押し入れ・倉庫・トイレ、洗面台の下・バスルームの隅などが主な生息場所になります。
活動は主に夜間です。昼間は暗い場所に潜んでいて、夜になると食べ物を求めて動き出します。カマドウマは雑食性で、ゴキブリの死骸・食べかす・紙・有機物のゴミなど、さまざまなものを食べます。家の中に食べ物になるものが多いほど、定着しやすくなります。
「夜に電気をつけたらいた」「ゴミ箱のそばに出た」という経験がある方は、カマドウマが活動中だったと考えられます。夜行性という特性を理解しておくと、発見と駆除のタイミングをつかみやすくなります。
家の中にカマドウマが侵入する原因と経路
「なぜ家の中に入ってくるのか」を理解することが、駆除後の再発防止に直結します。侵入の原因と経路を正しく把握しておきましょう。
侵入しやすい条件と季節的なパターン
カマドウマが家の中に侵入しやすくなるのは、夏から秋にかけての時期です。この時期は外気温が下がり始め、屋外よりも屋内のほうが暖かく湿気もあることから、住み処を求めて建物内に入り込んでくるケースが増えます。
侵入リスクが特に高い家の特徴として、築年数が古くて隙間が多い住宅・床下の湿気が多い家・庭や家まわりに草木や落ち葉が多い立地が挙げられます。自然環境に近い場所に建つ住宅や、山・川沿いの家も発生リスクが高い傾向があります。
「毎年同じ時期に出る」という方は、季節的な侵入パターンが定着しているケースがほとんどです。その場合は、夏が終わる前から侵入防止対策を始めておくことが有効です。
よくある侵入経路と確認すべき場所
カマドウマの主な侵入経路として、次のような場所が挙げられます。
排水口・通気口・床下換気口は、カマドウマが好む暗くて湿った空間に直接つながる経路です。防虫ネットが設置されていない・または破れている場合は特に侵入リスクが高まります。
壁のひび割れ・配管まわりの隙間も代表的な侵入経路です。配管が壁を貫通している箇所の周辺に隙間があると、そこから簡単に入り込んでしまいます。
ドアや窓の隙間からも侵入します。特に古い建具は経年劣化で隙間が生じやすく、ドアの下部・窓の枠まわりなどが入口になることがあります。
カマドウマを家の中で発見した場合は、発見した場所の近くを重点的に確認してみてください。たとえば洗面所で見つけたなら、その下の排水管まわりや床下換気口が侵入口になっている可能性があります。
自分でできるカマドウマの駆除方法

侵入してしまったカマドウマへの対処は、方法を知っておけば自分でも十分に対応できます。状況に合わせた方法を組み合わせて使うのが効果的です。
発見時の即効対処。殺虫スプレーと捕獲
目の前にカマドウマが現れたとき、最も手軽な対処法が市販の殺虫スプレーです。カマドウマ専用の製品は少ないですが、ゴキブリ用や不快害虫用の殺虫スプレーが有効です。直接噴射することで素早く対処できます。
ただし、カマドウマはジャンプ力が高いため、近づいた瞬間に飛び跳ねてしまうことがあります。少し離れた距離からスプレーを噴射するのがコツです。
直接噴射が難しい場合や、殺虫剤を使いたくない場合は捕獲という方法もあります。大きめのビニール袋やコップを使ってカマドウマを覆い、そのまま捕獲して外に出す方法です。段ボールや厚紙で誘導しながら捕まえる方法も有効です。
素手で触ることは避けてください。カマドウマ自体に毒はありませんが、触れることで皮膚が過敏に反応する場合があり、精神的な不快感も伴います。必ず手袋を使うか、直接触れない方法で対処してください。
粘着シートの設置と効果的な場所
「発見するたびに対処するのが大変」という方には、粘着シート(トラップ)の設置がおすすめです。カマドウマが通りそうな場所に設置しておくだけで、自動的に捕獲できます。
設置に効果的な場所は、風呂場・トイレ・洗面所の壁際・床下・倉庫の隅・押し入れの隅などです。カマドウマは壁際を移動する習性があるため、壁に沿って設置することが捕獲率を上げるポイントです。
粘着シートはゴキブリ用のものでも代用できますが、カマドウマは体が大きいため、面積の広いタイプや強力粘着タイプを選ぶと逃げられにくくなります。複数か所に設置して1〜2週間ごとに確認することで、どの場所から多く出ているかを把握するモニタリングにも活用できます。
忌避剤・防虫スプレーによる侵入防止
すでに侵入したカマドウマへの対処と並行して、新たな侵入を防ぐための忌避剤・防虫スプレーの活用も有効です。
市販の不快害虫用忌避スプレーを、玄関まわり・換気口のそば・窓の枠まわり・排水口の近くなどに散布することで、カマドウマが近づきにくい環境を作ることができます。
効果の持続期間は製品によって異なりますが、一般的に2〜4週間程度が目安です。雨が多い時期や、侵入が増える夏から秋にかけては、こまめに再散布することで効果を維持しやすくなります。
忌避剤はあくまでも補助的な手段です。侵入経路を物理的に塞ぐことと組み合わせることで、より高い予防効果が期待できます。
乾燥・換気による環境改善
カマドウマが好む「湿気の多い環境」を改善することも、駆除と再発防止に有効な取り組みです。
特に注意が必要なのが水まわり(風呂場・洗面所・トイレ)と床下です。使用後の換気を徹底し、湿気がこもらないようにしましょう。風呂場では使用後に換気扇を一定時間回し続けることが効果的です。
除湿剤や除湿機の活用も有効です。特に押し入れ・倉庫・床下収納など空気が動きにくい場所は、除湿剤を設置して定期的に交換することで、カマドウマが好む環境を崩すことができます。
「水まわりを清潔に保ち、湿気をためない」という日常習慣が、カマドウマを寄せ付けにくい室内環境の基本になります。
再発を防ぐための侵入対策
駆除しても繰り返し出てくる場合、侵入経路が塞がれていないことが原因であることがほとんどです。根本的な再発防止のために、物理的な対策と環境整備を合わせて行いましょう。
侵入経路の封鎖と物理的なバリア
カマドウマの再発を防ぐうえで最も重要なのが、侵入経路の物理的な封鎖です。駆除と侵入防止をセットで行わなければ、外から次々と入り込んでくる状況が続いてしまいます。場所ごとに適切な方法で対処していきましょう。
排水口・床下換気口・通気口への防虫ネット設置
排水口・床下換気口・通気口は、カマドウマが好む暗くて湿った空間に直接つながっている経路です。こうした開口部には、防虫ネットや防虫キャップを取り付けることで物理的に侵入を遮断できます。
すでにネットが設置されている場合でも、安心するのは早いです。経年劣化や紫外線による破れ・緩みが生じていると、その隙間から侵入されてしまいます。季節の変わり目には必ず状態を確認し、破損があれば早めに交換・補修することをおすすめします。
床下換気口はとりわけ見落とされやすい場所です。外壁のまわりを一周して、換気口の状態をひとつずつ確認してみてください。
ドアの隙間への隙間テープ施工
ドアの隙間は、意外と見落とされがちな侵入経路のひとつです。特にドア下部の隙間(ドアと床面の間)は目線から遠く気づきにくいですが、カマドウマが十分に通り抜けられる大きさであることも少なくありません。
対処法として有効なのが隙間テープの貼り付けです。ホームセンターや通販で入手できるスポンジ・ゴム素材の隙間テープをドアの下部や枠まわりに貼ることで、隙間を物理的に塞ぐことができます。
選ぶ際は、厚みがあって圧縮されやすい素材のものを選ぶと隙間を確実に埋めやすくなります。また、玄関ドアだけでなく、勝手口・窓の戸当たり部分も合わせて確認してみてください。ドアの開閉に支障が出ない範囲で施工することがポイントです。
配管まわりの隙間へのコーキング処置
配管が壁を貫通している箇所のまわりには、施工上のわずかな隙間が生じていることがあります。こうした隙間もカマドウマの侵入経路になりやすく、見た目では気づきにくいため放置されがちです。
対処法として有効なのがコーキング(隙間を埋めるための充填材)による封鎖です。ホームセンターで購入できるシリコン系のコーキング材は、水まわりや屋外でも使用できる耐水性・耐候性に優れた素材で、自分で対処しやすい材料のひとつです。
コーキングを施工する際は、隙間の周辺をよく乾燥させてから充填し、指やヘラで均一に押し込むことできれいに仕上がります。完全に硬化するまでの時間は製品によって異なりますが、一般的に数時間から半日程度が目安です。
見落としやすい箇所の総点検
上記の3か所に加えて、次のような場所も見落としやすい侵入経路になることがあります。窓の枠まわりの隙間・エアコンの配管が通る壁の穴・床と壁の境目(巾木まわり)なども確認しておくと安心です。
「小さな隙間だから大丈夫」という油断は禁物です。カマドウマは体が細身で脚を折り畳むことができるため、思った以上に小さな隙間から入り込むことがあります。家のまわりを一周して、気になる箇所はすべて塞いでおくことをおすすめします。
封鎖した後は、施工した箇所が剥がれたり劣化したりしていないかを定期的に確認することも大切です。隙間テープやコーキングは消耗品として、年に一度は状態を見直す習慣をつけておくと長期的な再発防止につながります。
屋外環境の整備でカマドウマを寄せ付けない
家の中の対策だけでなく、屋外環境の整備もカマドウマの侵入リスクを下げるうえで重要です。
カマドウマは屋外では、落ち葉・腐葉土・湿った木材・石やレンガの積み重ねといった場所を住み処にしています。こうした場所が家の壁際にあると、そこから家の中へ侵入するリスクが高まります。
庭や外壁まわりの落ち葉を定期的に取り除き、腐りかけた木材や湿った資材は家から離れた場所に保管するか処分しましょう。また、家の壁から離れた場所に植木鉢や石を置くことも、カマドウマの「踏み台」を減らす有効な対策です。
「家の中に出る」と感じたら、まず家のまわりの外部環境も確認してみてください。屋外に住み処があれば、そこから繰り返し侵入してくることになります。
定期的な点検と早期発見の習慣
侵入対策を施した後も、定期的な確認の習慣を続けることが長期的な再発防止につながります。
床下・押し入れ・倉庫などの普段は目の届かない場所を、季節の変わり目ごとに点検してみましょう。カマドウマが潜んでいても、発見が早ければ対処も簡単です。
粘着シートを継続設置してモニタリングすることもおすすめです。捕獲される数が急に増えたときは、侵入経路が新たに生じているサインかもしれません。定期的に確認し、設置した封鎖箇所の状態もあわせてチェックしてください。
「見かける頻度が増えてきた」と感じた場合は、放置せず早めに対処することが被害を広げないための基本です。
自分での対処が難しい場合は?業者依頼の判断基準と流れ

市販の対策グッズや環境改善を続けても改善しない場合、状況によっては専門業者への相談が最善の選択肢になります。
業者に依頼すべき状況のサイン
「自分で対策をしているのに、なかなか改善しない」という状況は、個人での対処に限界があるサインかもしれません。カマドウマは不快害虫ではあるものの毒はないため、つい後回しにしてしまいがちです。しかし、発生が続く状況を放置すると家の中に定着してしまい、対処がより難しくなることがあります。次のような状況に当てはまる場合は、早めに専門業者への相談を検討してください。
大量発生している・毎日のように見かける
1〜2匹を偶然見かける程度であれば、侵入した個体を個別に対処することで済む場合もあります。しかし、毎日複数匹を見かける・一度に何匹も出てくるという状況は、家の中または家のまわりに安定した発生源が存在している可能性が高いです。
カマドウマは集団で生息する習性があるため、頻繁に目撃される場合はすでに複数の個体が家の中に定着しているケースがほとんどです。市販の殺虫スプレーや粘着シートで目の前の個体を処理し続けても、発生源が残ったままでは根本的な解決にはなりません。
このような状況では、発生源の特定と一体的な駆除処置が必要になります。個人での対処では追いつかないと感じたら、早めにプロの手を借りることを検討してください。
対策をしても繰り返し出てくる
殺虫スプレーや粘着シート・忌避剤・換気と除湿の改善といった一般的な対策を続けているにもかかわらず、しばらくするとまた出てくるという場合は、侵入経路が完全に特定・封鎖できていない可能性が高いです。
カマドウマの侵入経路は、一見すると見えにくい場所に存在することが少なくありません。床下のわずかな隙間・外壁に生じた細かいひび割れ・配管が通る壁の内部など、個人では気づきにくい箇所が入口になっているケースもあります。
専門業者は経験と専用の点検機材を使って、こうした見えにくい侵入経路を的確に特定することができます。「自分ではどこから入ってくるのかわからない」という状況こそ、プロによる現地調査が最も力を発揮する場面です。
床下や壁の内部に潜んでいる疑いがある
床下から音がする・壁の内側から気配を感じる・床下収納を開けると複数匹見かけるといった状況は、個人では直接手を届かせることが難しい場所にカマドウマが潜んでいるサインかもしれません。
床下は暗くて湿気が溜まりやすく、カマドウマにとって非常に快適な環境になりやすい場所です。一度床下に定着すると、そこを拠点として室内に繰り返し侵入してきます。床下の構造によっては人が入ることも難しく、個人での確認・処置には限界があります。
専門業者は床下や壁内部への薬剤処置・侵入経路の封鎖・発生状況の確認まで、個人では難しい対応を一括して行うことができます。「もしかして床下に住み着いているのでは」と感じたら、まずは現地調査だけでも依頼してみることをおすすめします。
業者が対応できる内容と依頼の流れ
専門業者に依頼した場合、発生源・侵入経路の特定から、薬剤処置・侵入口の封鎖・再発防止のアドバイスまで一括して対応してもらうことができます。
依頼の一般的な流れは、問い合わせ→現地調査→見積もり提示→施工→アフターフォローです。現地調査で状況を把握してもらったうえで、費用と作業内容の提案を受け、納得してから施工に進む形が基本です。
費用は発生状況・建物の構造・施工範囲によって変わりますが、まずは見積もりを取って内容を確認することが大切です。見積もり時には費用の内訳・追加料金の条件・施工後の保証についても確認しておくと安心です。
一網打人では、こうした害虫対策に対応した地域の優良業者を効率よく探すことができます。「まず相談だけしてみたい」という段階でも、気軽に問い合わせてみてください。
まとめ
カマドウマは毒こそありませんが、突然の登場は誰にとっても不快なものです。放置すれば繰り返し出てくることも多く、早めに対処することが精神的な安心につながります。
対策の基本は、駆除と侵入防止をセットで取り組むことです。殺虫スプレーや粘着シートで目の前の個体を処理するだけでなく、侵入経路を封鎖し、湿気を減らし、屋外環境を整えることが根本的な解決につながります。
「対策をしても繰り返し出てくる」「大量に発生している」という場合は、個人での対処に限界があるかもしれません。そのようなときは、一網打人で対応業者を探して、専門家への相談を検討してみてください。正しい対処と継続的な予防で、カマドウマとの縁を断ち切ることは十分に可能です。




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