
シロアリ被害が発覚したとき、多くの方が最初に感じるのは費用への不安ではないでしょうか。駆除だけでなく、傷んだ床や柱の修繕まで含めると、思いのほか大きな出費になることも珍しくありません。
「補助金が使えるなら、ぜひ活用したい」と考える方は多いのですが、ここで一つ重要な前提をお伝えしておく必要があります。シロアリ「駆除」そのものに使える補助金は、原則として存在しません。ただし、被害を受けた建物を修繕・補強するリフォーム工事については、内容によって補助金の対象になる可能性があるのです。
この記事では、補助金が使えるリフォームの種類・申請に必要な条件・手続きの流れ・申請時に気をつけたい落とし穴まで、順を追って解説していきます。費用の見通しを立てるうえで、ぜひ参考にしてください。
シロアリ被害があれば補助金がもらえる?

まず大前提として、「シロアリ被害があれば補助金がもらえる」という制度は存在しません。補助金を活用するためには、「どんな工事をするか」が判断の軸になります。
「シロアリ駆除」への補助金は原則ない
薬剤処置やバリア工法・ベイト工法といったシロアリ駆除そのものは、現在の国や自治体の補助金制度の対象外となっています。「害虫駆除費用を補助する制度」は一部の自治体で存在することもありますが、全国的に整備されたものではなく、あくまで例外的な扱いです。
駆除費用と修繕費用は、明確に分けて考えることが大切です。補助金の対象になり得るのは、シロアリ被害を受けた「建物の修繕・補強工事」の部分です。
たとえば、シロアリに食害された柱や土台を交換して耐震性を回復させる工事、被害を受けた床下の断熱材を交換して断熱性能を改善する工事などは、補助金の対象工事と重なる場合があります。「シロアリ被害を受けたから補助金が出る」のではなく、「その工事の内容が補助金の条件に合うかどうか」を確認することが出発点になります。
補助金対象になりやすいリフォームの種類
シロアリ被害後の修繕工事と補助金制度が重なりやすいのは、主に次の4種類です。
耐震リフォームは、構造材の食害による耐震性能の低下を回復させる工事と相性がよい制度です。
省エネリフォームは、床下や壁の断熱材交換・窓の改修が伴う場合に対象になる可能性があります。
長期優良住宅化リフォームは、劣化対策・耐震性・省エネ性能を総合的に向上させる工事が対象で、大規模な修繕工事では検討の余地があります。
そして自治体独自の補助制度は、地域によって内容が大きく異なるため、居住地で確認することが欠かせません。
「補助金を使えるかもしれない」と感じたら、まず行う工事の内容を業者に具体的に確認してから、制度との照合に進むのがスムーズです。
活用できる主な補助金の種類
シロアリ被害後のリフォームに活用できる可能性がある補助金制度を、種類別に整理します。制度の内容は年度によって変更されることがあるため、最新情報は各省庁や自治体の窓口で必ず確認してください。
耐震リフォーム補助金
シロアリ被害では、柱・土台・筋交いといった構造材が食害を受け、建物の耐震性が大きく低下することがあります。こうした場合に活用できる可能性があるのが、耐震リフォームへの補助金制度です。
補助金は国・都道府県・市区町村の3層構造で設けられており、組み合わせて受給できるケースもあります。補助率や上限額は自治体によって異なりますが、耐震改修工事費の一部(費用の3分の1〜2分の1程度)が補助される制度が多く見られます。
対象となる建物には条件があります。多くの制度では「1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた木造住宅」が対象となっており、比較的新しい建物は対象外になるケースがあります。ここで注意したいのは、「建てられた(竣工した)年」ではなく「建築確認を受けた日付」で判断される点です。竣工年が1982年以降であっても、建築確認が1981年5月31日以前であれば旧耐震基準の建物に該当します。建物の建築確認済証や登記事項証明書を確認したうえで、自治体の窓口に問い合わせてみてください。
※耐震リフォーム補助金の詳細・申請条件は自治体によって異なります。お住まいの市区町村の担当窓口または国土交通省(TEL:03-5253-8111)にお問い合わせください。
耐震リフォームは、シロアリ被害との関連でも活用しやすい制度のひとつです。修繕と補強を同時に行う機会と捉えると、費用対効果も高まります。
省エネリフォーム補助金(参考情報)
省エネリフォームを対象とした補助金制度は、シロアリ被害の修繕工事そのものを対象としているわけではありません。ただし、シロアリ被害を機に断熱性能の向上や省エネ改修を合わせて計画する場合、制度を組み合わせられる可能性があります。参考情報として概要を紹介しておきます。
国土交通省・経済産業省・環境省の3省が連携して実施する「住宅省エネ2026キャンペーン」では、「みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026)」「先進的窓リノベ2026事業」などの補助制度がワンストップで申請できる仕組みが整えられています。
「みらいエコ住宅2026事業」(国土交通省・環境省)は既存住宅の省エネリフォームも対象に含まれますが、「窓の断熱改修」が必須工事とされており、シロアリ修繕だけでは条件を満たせません。修繕と合わせて窓改修なども計画する場合に限り、活用できる可能性があります。補助上限はリフォームの場合1戸あたり最大100万円です。
「先進的窓リノベ2026事業」(環境省)は窓・ドア・ガラスの断熱改修を対象とした制度で、補助上限は1戸あたり最大100万円です。シロアリ被害との直接の関連性は薄いですが、修繕と合わせて窓改修を行う場合に参考になるかもしれません。
制度ごとの必須工事・申請条件・予算状況は年度によって変わります。活用を検討する場合は、業者や各省庁の窓口に事前に確認することが不可欠です。
参考公式サイト:
・住宅省エネ2026キャンペーン(公式)https://jutaku-shoene2026.mlit.go.jp/
・みらいエコ住宅2026事業(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000310.html
・先進的窓リノベ2026事業(環境省)https://window-renovation2026.env.go.jp/
長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、劣化対策・耐震性・省エネ性能などを総合的に向上させるリフォームを支援する国の制度です。シロアリ被害後の大規模修繕では、複数の性能向上が一度に求められることも多いため、この制度との相性がよいケースがあります。
申請には、工事前に住宅診断士などによるインスペクション(住宅診断)を実施する必要があります。インスペクションとは、建物の劣化状況や性能を専門家が調査・評価するものです。手間はかかりますが、建物の現状を客観的に把握できるという点でメリットもあります。
補助額は工事内容や性能向上の程度によって異なり、最大で数十万円から百万円以上になるケースもあります。ただし条件が細かいため、事前に制度の詳細をしっかり確認することが大切です。
自治体独自の補助金・助成制度
国の制度とは別に、都道府県や市区町村が独自に設けている補助制度があります。これが意外と見落とされがちなのですが、地域によっては活用しやすい制度が充実していることもあります。
たとえば、木造住宅の耐震診断や耐震改修を対象とした市独自の補助制度、リフォーム費用の一部を助成する地域振興的な制度などが各地に存在します。シロアリ駆除費用を一部助成する珍しい制度を設けている自治体もゼロではありません。
まずは居住している市区町村の公式サイトや、窓口への問い合わせから始めることをおすすめします。国の制度よりも手続きがシンプルで、補助額は小さくても申請しやすいというケースも多くあります。
補助金を受けるための主な申請条件
「使えそうな制度がある」とわかっても、条件を満たしていなければ申請できません。主な条件を事前に把握しておきましょう。
建物・工事に関する条件
補助金の多くは、対象となる建物の種類・築年数・構造に条件があります。木造住宅を対象とする制度が多く、マンションなどの共同住宅は対象外となるケースもあります。
工事内容については、「登録施工業者による施工」を条件とする制度が多い点に注意が必要です。どんな業者でも申請できるわけではなく、制度に登録された業者が施工を行うことが求められます。業者を探す段階から「補助金対応業者かどうか」を確認しておくことが、後悔しないためのポイントです。
工事の規模についても制限がある場合があります。「一定額以上の工事が対象」「特定の工事項目を含むことが条件」というケースが多いため、見積もりを取る前に条件を把握しておくと判断しやすくなります。
着工前申請の重要性
補助金制度で最も見落とされやすいルールが、「工事を始める前に申請することが必要」という点です。
「工事が終わってから申請すればいいのでは」と思う方も多いのですが、多くの補助金制度では着工前の申請・承認が必須とされています。工事を始めてしまった後に申請しても、対象外と判断されてしまうケースが少なくありません。
シロアリ被害が発覚すると「早く修繕したい」という気持ちになるのは当然のことですが、焦って工事を進める前に、補助金の申請スケジュールを確認することが得策です。数十万円規模の補助金を逃すことになれば、後悔しても取り戻せません。
補助金の併用と減税制度との関係
複数の補助金を組み合わせて申請できるケースがある一方で、同一工事に対して複数の国の補助金を重複して受け取れないケースもあります。「どの制度と組み合わせられるか」は制度によって異なるため、申請前に必ず確認が必要です。
補助金と並行して検討したいのが、住宅リフォームに伴う減税制度です。所得税の控除や固定資産税の軽減措置が適用できる場合があります。補助金と減税を併用できる制度もあるため、税理士や業者に相談しながら最適な組み合わせを検討するとよいでしょう。
補助金申請の一般的な流れ

実際に補助金を申請するには、いくつかのステップを順番に踏む必要があります。ここでは一般的な流れを整理します。
まず制度の確認から始める
最初のステップは、居住している市区町村の窓口や公式サイトで、現在利用できる制度を確認することです。国土交通省のウェブサイトや住宅リフォーム推進協議会のポータルサイトも参考になります。
補助金制度は年度ごとに内容が変わり、予算が尽きると年度途中でも受付が終了します。「去年使えた制度が今年はなくなっていた」ということも珍しくないため、必ず最新情報で確認することが肝心です。
施工業者の選定と見積もり取得
制度の内容を把握したら、補助金対応工事に対応できる施工業者を選定します。先述のとおり、多くの制度では登録施工業者による施工が条件になるため、業者選びの段階で確認が必要です。
見積もりは複数の業者から取ることが理想的です。費用の比較だけでなく、補助金申請のサポートが可能かどうかも確認しておきましょう。一網打人では、シロアリ対応の実績がある地域の優良業者を探すことができます。補助金対応について業者に相談する際の参考にしてみてください。
申請書類の準備と提出
申請に必要な書類は制度によって異なりますが、一般的には申請書・工事見積書・建物の登記事項証明書や図面・施工業者の登録証明書などが求められます。
書類の不備があると申請が受理されなかったり、審査が遅れたりすることがあります。提出前に自治体の担当窓口に「必要書類の確認をしたい」と一度連絡を入れておくと、手続きがスムーズに進むことが多いです。
施工・完了報告・補助金受領
申請が承認されたら、いよいよ工事の着工です。施工が完了したら、完了報告書や工事写真などの完了確認書類を提出します。審査を経て問題がなければ、補助金が振り込まれます。
補助金の支払いは工事完了・審査通過後になるため、工事費用は一時的に自己負担する必要があります。資金計画を立てる際には、補助金が入金されるまでのタイミングを考慮しておくことが大切です。
補助金を使う際の注意点

制度を知っていても、申請の進め方を誤ると補助金を受け取れなくなってしまいます。よくある失敗とその回避策を確認しておきましょう。
予算枠の上限と受付終了のリスク
補助金制度の多くには年間の予算枠が設定されており、上限に達した時点で年度途中であっても受付が終了します。人気の高い制度ほど早期に締め切られることがあり、「申請しようとしたらすでに終わっていた」というケースは決して珍しくありません。
「来月でいいか」という先送りが、数十万円の損失につながりかねないのです。気になる制度を見つけたら、できるだけ早めに窓口に確認を入れることをおすすめします。
業者まかせによる申請漏れ
「この工事は補助金対応です」と業者に言われたのに、実際には申請されていなかったというトラブルが起きることがあります。補助金の申請は申請者(施主)が主体となって進めるものです。業者に任せきりにせず、申請状況を自分でも把握しておくことが欠かせません。
契約時に「補助金申請のサポートをどこまでしてもらえるか」を明確にしておき、申請の進捗も定期的に確認するようにしましょう。
駆除と修繕は同時進行が効率的
シロアリの駆除工事と建物の修繕リフォームを別々の業者・別々のタイミングで進めると、費用も時間もロスが生じやすくなります。床下への入り方や作業範囲が重複すれば、二度手間になることもあります。
駆除施工後すぐに修繕に着手できるよう、あらかじめ業者間の連携を確認しておくか、駆除から修繕まで一括で対応できる業者に依頼することが、結果的にコストと時間の節約につながります。
まとめ
シロアリ被害のリフォームに使える補助金は、「シロアリ駆除そのもの」ではなく「工事の内容」によって決まります。耐震・省エネ・長期優良住宅化といったリフォームと修繕内容が重なる場合に、補助金を活用できる可能性があります。
申請の基本ルールは「着工前に申請すること」。この一点を見落とすと、補助金を受け取る機会を完全に失ってしまいかねません。自治体の窓口への早めの確認と、補助金対応が可能な業者の選定が、成功への近道になります。
「どの制度が使えるか判断がつかない」という方は、まず地元の業者に相談してみるのもひとつの方法です。一網打人では、シロアリ対策・リフォームに対応した地域の優良業者を検索できます。費用の見通しを立てながら、補助金の活用も含めて相談してみてください。




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